リプロカートリッジとは?レトロゲームのコピー品の見分け方
リプロカートリッジ(略して「リプロ」)とは、現代の基板でゲームを複製し、カートリッジのシェルに入れて当時のゲーム機で遊べるようにした非公式のコピー品です。メーカーが製造したものでも、許諾を受けたものでもありません。遊びたい人向けに、リプロと明記して売られているものもあります。一方で本物として売られるものもあり、そこで買い手が損をします。コレクションとしては、リプロに本物と同じ価値はありません。
このガイドでは、リプロとは何か、なぜ存在するのか、価値はあるのか、そしてファミコン、スーパーファミコン、ニンテンドウ64、ゲームボーイのソフトで見分けるための基本チェックを紹介します。
リプロとは?よく似た言葉の違い
非公式のカートリッジにはいくつかの呼び方があり、意味が重なっています。
- リプロ(リプロダクション): ゲームの複製品。オリジナルそっくりに作られていることが多く、ラベルに「reproduction」と書いてあるものも、ないものもあります。
- 偽物・コピー品: 本物で*あるかのように*売られる複製品。リプロも、本物として売った瞬間に偽物になります。
- 海賊版: 無許諾の複製品を指す昔からの言葉。当時作られたものが多く、ラベルやタイトルが妙なものもあります。
- シェル交換(リシェル): 元のシェルやラベルが入れ替えられたソフト。本物のソフトのシェルが交換されていることもあれば、リプロの基板が本物のシェルに入れられていることもあります。だから外見だけでは全部は分かりません。
コレクターにとっての要点はひとつ。ソフトの価値は、元のメーカーが作ったオリジナルの製品であることから生まれます。どれほどよくできていても、リプロはそうではありません。
リプロが出回る理由
リプロが作られ、買われるのには、いくつか理由があります。
- ファン翻訳。 日本でしか発売されなかったゲームを海外のファンが英訳し、それを実機で遊べるようにしたリプロがあります。GBAの『MOTHER3』の英語版リプロが有名な例です。翻訳したファン自身が自分たちの成果物の販売に反対していることもあり、ファンの間でもグレーな領域です。
- オリジナルが高い。 本物が高額だと、コレクター価格を払わずに遊べるリプロが選ばれます。
- 改造版や未発売のゲーム。 ファンが作った改造版や、カートリッジで発売されなかったゲームもリプロとして出回っています。
問題はリプロが存在すること自体ではありません。いったん世に出たリプロが、事情を知らない人や気にしない人によって本物として転売されてしまうことです。
リプロカートリッジに価値はある?
遊ぶためのものとしては、そのゲームを遊ぶのに払ってもいい額くらいの価値です。コレクションとしては、本物と同じ価値はありません。相場ガイドや取引データが示しているのは、本物の価値です。
市販ゲームのリプロは、権利者の許可なく作られています。メルカリやヤフオクなどの大手フリマ・オークションでは、コピー品など権利を侵害する商品の出品が禁止されています。リプロと明記していても、出品すると規約違反になることがあります。
リプロカートリッジの見分け方
これひとつで本物と証明できるチェックはありません。いくつかのサインを合わせて判断し、なかでも基板をいちばん信頼できる手がかりにしましょう。携帯機の詳しいチェック手順は、ゲームボーイソフトの偽物の見分け方とポケモンソフトの偽物の見分け方で解説しています。
ほぼどのカートリッジにも使えるチェック
- 値段と出品のされ方。 レアなソフトが相場よりかなり安い、手に入りにくいソフトの「未開封品」を同じ出品者が何本も出している、といった場合は警告サインです。
- ラベルの印刷。 本物のラベルはくっきりとムラなく印刷されています。リプロのラベルは色が鮮やかすぎる、文字が少しぼやけている、テカテカしたシールのよう、といった特徴がよくあります。
- シェルとプラスチック。 本物と分かっているソフトと、色、質感、合わせ目を比べてください。すき間、ざらついた継ぎ目、手触りの違うプラスチックは注目すべきサインです。
- ネジ。 任天堂はほとんどのソフトに特殊ネジを使っていました。普通のプラスネジは、偽物か、一度開けて組み直されたソフトである可能性を示します。ただし初期のNESなど例外もあります(下記参照)。
- 基板。 本物の基板にはメーカー名、年、正式な部品番号が入っています。リプロの基板は汎用品だったり、オリジナルより小さかったり、手はんだの配線が見えたりします。
ファミコン・スーパーファミコン(海外版のNES・スーパーNES)
- ネジ。 スーパーファミコンや後期のNESは特殊ネジです。初期のNES(1985〜87年ごろ)は普通のネジ5本でした。ファミコンはメーカーによってシェルの作りが違うので、ネジの種類だけで判断せず、同じタイトルの本物と比べましょう。
- シェルの刻字。 本物のシェルには、文字やコードがシャープに成形されています。同じソフトの本物の写真と裏面を比べ、刻字がない、ぼやけている、違っているといった場合は要注意です。
- 基板。 本物の基板にはメーカー名(任天堂製なら「Nintendo」)と年が印刷され、チップにも正式な印字があり、基板がシェルの大部分を占めています。チップを覆う黒い樹脂の塊、シェルに比べてかなり小さい基板、手はんだの配線は、どれもリプロのサインです。
ニンテンドウ64
- 裏ラベルの刻印。 多くの本物のN64ソフトには、裏ラベルに小さな数字が押し込まれていて、指でくぼみを感じられます。リプロではこれがなかったり、インクで印刷されていたりします。道具なしでできる最も手軽なチェックです。
- ラベルの見た目。 色が濃すぎる、文字がぼやけている、光沢の強いシールのような仕上げは、リプロのラベルによくある特徴です。
- 基板。 本物の基板には「Nintendo」、型番、年が入っています。何も書かれていない基板や汎用のコードしかない基板は、リプロの可能性が高いです。
ゲームボーイ・ゲームボーイカラー・ゲームボーイアドバンス
携帯機のソフトは最も偽物が多く、なかでもポケモンは突出しています。ラベルの印刷、シェルの細部、そして何より基板(本物には任天堂の表記がある)という基本チェックはここでも有効です。細かい点は機種ごと、タイトルごとに違うので、別のガイドで解説しています。ゲームボーイソフトの偽物の見分け方とポケモンソフトの偽物の見分け方をご覧ください。
まず確認、それから価値を調べる
本物だと確信できたら、次に気になるのはたいてい「いくらになるか」です。そこで推定価値が役に立ちます。
RetroWorthは、ラベルや箱、ソフトのみの写真からゲームを特定し、状態別(ソフトのみ・完品・新品)と地域別の推定価値の幅を表示します。推定価値は、本物のソフトの市場取引データを集計したものです。アプリは本物かどうかの判定や偽物の検出はしません。ラベルをコピーしたリプロは、写真ではオリジナルと同じに見えることもあります。上のチェックを先に済ませてから、スキャンしてください。
リプロを正直に売る・買う
リプロを持っていて手放したいときは、次のことを守りましょう。
- はっきり書く。 タイトルと説明文に「リプロ」と明記し、小さな注意書きにしない。
- 先に出品先の規約を確認する。 市販ゲームのリプロは、そもそも出品できないサービスが多いです。
- リプロとしての値段をつける。 本物の価値を基準にしない。
買う側なら、裏ラベルの写真、高価なソフトなら基板の写真も頼みましょう。本物を持っている出品者なら、まず嫌がりません。
よくある質問
出品の「リプロ」とはどういう意味ですか?
リプロダクションの略で、オリジナルのカートリッジではない非公式の複製品のことです。「リプロ」と書いてあれば、コレクションとしての価値がある版ではありません。
リプロは買う価値がありますか?
遊ぶ目的なら、何を買うのか理解したうえでリプロ相応の値段なら、ありです。コレクション目的なら、ありません。本物のような価値は保てません。
本物のソフトにリプロの部品が使われていることはありますか?
あります。ラベルの貼り替えやシェルの交換はよくあり、多くの買い手はこうしたソフトを完全なオリジナルではなく「シェル交換品」とみなします。売るときは交換した部品を必ず明記しましょう。
RetroWorthでリプロかどうか分かりますか?
いいえ。RetroWorthはゲームを特定し、本物を前提にした推定価値を表示するアプリです。偽物は検出しないので、推定価値を当てにする前に本物かどうかを確認してください。